アラサー女子の切恋ドラマ【本当は“愛されるべきオンナ”たち】vol.2 シオリ(33歳)の場合【前編】

シオリ33歳の場合(前編)

「こんなに頑張っても運命の人が現れないなんて、自分は結婚できない運命なのかもしれない…」

そう思ったことはありませんか?

占い師の「結婚できない」という言葉に囚われ、結婚を諦めかけていた上山シオリ、33歳。

今回は、そんな彼女が、「絶対変えられない運命なんてない」と知り、望む未来を引き寄せたお話。

「あんた結婚できないわよ!!」占いに呪いをかけられたオンナ

結婚の部屋に星がない?

占い師

それは高校生になったばかりの頃。

友人と少し大きな街に出た時、誰かが「占いやってみようよ!」と言い出したのがきっかけです。

正直占いにそこまで興味がなかったけど、10分で500円と比較的お手軽だったのと、まだそこまで仲良くなっていない友達ばかりだし、流されて一緒に占いをしてみることになってしまったのです。

祖母より少し若いくらいのおばさんが出てきて、生年月日やフルネームを答えると深いため息をつかれました。

占い師の呪い

「で?そんなに若くて何が知りたいの?」

『えっと、将来結婚できるかどうかを知りたいんですが……』

「あー無理無理、あんたは無理よ。全然男っ気がないんだもの」

占い師がそう答えた瞬間、友達がどっと笑いました。

黒い服を着てるのは最低だとか人と話すときはハキハキ喋れとか、占い師がアドバイスを言うたびに友人たちは面白そうにあれこれ喋っています。

私はと言えば、ずっと下を向いて赤面していました。

「あのねえ、あんたは結婚の部屋に星がないのよ。どう頑張ったって無理無理」

占い師が何を言っているのかさっぱりわかりませんでしたが、もうこの場をどう切り抜けて家へ帰るかしか頭にありませんでした。

傷ついた10年前

まるで呪いをかけられたかのような運命

それから早いもので15年以上が過ぎ、私は33才になっていました。

大人になった私

最初の占い師の予言通り、結婚どころか真剣に告白されることも一切ありません。

私から“良いな”と思った人は大抵結婚しているか、恋人がいる人です。

私は「占いなんて関係ない、気持ちの問題だ」と思いつつも、恋がうまくいかないとあの占い師の顔が脳裏をよぎります。

 

この時も職場のいいなと思っていた同僚に彼女がいると聞いたばかり。

おかげで久しぶりに会った妹にクダを巻いてしまいました。

子育て中の妹に

子供をあやしながら困った顔をした妹が、スマホで何か検索しはじめました。

『どうせ私の話なんて聞く気ないんでしょ』

妹の話を聞いてなさそうな素振りに私が文句を言うと、スマホを私に渡して

「そうじゃなくて、これ!お姉ちゃん占い嫌いだけど、占いでうまくいったらむしろ自信が出るんじゃないかと思って!

妹のスマホを見ると、“電話占いウララカ”という占いサイトが表示されています。

スマホを見るしおり

『だから!占いは嫌いだって言ってるでしょ!』

「あのね、そんな嫌いな占いの結果に縛られてるのはお姉ちゃんでしょ?

大体その高校生のときに遊びで受けた占い師って……、ちゃんとした占い師なのかも分からないし」

『そうだけど……ちゃんとした占い師かどうかなんて、そんなのパッと見で分からないじゃん』

すると、妹はため息をついて、「この話、お母さんとかには言わないでよ」と少し気まずそうに話しだしました。

「お姉ちゃんにも言ってなかったけど、結婚前にさ、今の旦那と一回別れてるんだよね」

『え!そうだったの?』

妹と旦那は出逢ってから1年くらいで結婚したので、トントン拍子にうまく結婚までいったのかと思っていました。

「うん、私がちょっと疑い過ぎたというか何というか……。とにかくその時にね、相談していて、お世話になった占い師の先生がこのサイトの占い師なんだよね

妹の秘密

明らかにこれ以上は聞かないでという雰囲気を出す妹に、何があったのかは聞けなかったのですが、とにかくその占い師の助言もあって、今の旦那と復縁、そして、その後すぐに結婚まで進んだとのことでした。

「まぁ、占い自体に嫌悪があるお姉ちゃんは、そう言うと思ったから今まで言わなかったんだけどね」

私が言うのもなんですが、妹は証券会社に勤めていて、今は育休中だけど、いわゆるバリキャリです。

占いなんて絶対信じなさそうなのに、まさかそんなことがあったなんて思ってもいませんでした。

「無理にとは言わないし、サイト送っておくから、気が向いたらやってみれば」

私の性格をよくわかっている妹は、無理強いはせず、お茶を入れ直すね、とその話を終わらせました。

呪いからの開放

その日の夜、なにげなく、妹からLINEで送られてきたウララカという電話占いのサイトに開いてみました。

妹が占いを受けたのは「夏目先生」という占い師らしく、探してみると、私の占い師のイメージとはかけ離れた優しそうな雰囲気の占い師。

『(まぁ…電話だし、嫌だったらすぐ切ればいいよね)』

初めての電話占い

不安な気持ちを抱えつつも妹が使っていたという安心感もあって、思い切って、夏目先生に占いを申し込み鑑定を受けてみました。

「もしもし、こんばんは。鑑定師の夏目と申します。よろしくお願い致します」

久しぶりの占い、そして高校生のときに受けた占いのトラウマから緊張していたのですが、第一声、夏目先生の優しい声に安心しました。

不思議と初めましてじゃないようなそんな感覚。

そんな優しい雰囲気に心が緩んで、過去に占いで言われたこと、そして今までのことや、悩んでいること、未来への不安など打ち明けました。

「そうだったのね、とてもつらかったね。そうしたら、あなた自身のこと、ちょっと見てみますね。リラックスして、ちょっと待っててくださいね」

『はい』

「あぁ…やっぱり。あなた結婚できないって言われたけどそんなことないよ。ちゃんと結婚できる未来が用意されているわ。」

『本当ですか…?』

「うん、ただね、今のままじゃ駄目。過去に占いでいわれたことに引きづられちゃってるのかな…?

 あなた自身が”私なんて…”という思いに縛られちゃってるの。この悪い運命を断ち切らないと、いい縁があっても遠ざかっていってしまうから。」

確かに、あの占い師に言われたことにずっと縛られて、恋をしようにも傷つくのが怖くて、踏み出すことができませんでした。

そして、どこか心の中で私には恋愛や結婚には無理なんだろうって思っていました。

「あなた自身の波動が恋愛を遠ざけちゃってるの。まずは一つ、運命は変えられるってことを理解して。」

『運命は変えられる…?』

「そう、運命は変えられる。それを忘れないで。決して自分を卑下せずに、幸せになれる未来を思い浮かべて過ごして。

 私もあなたの波動を修正して、良い方向へ向かうためのお手伝いをさせてもらうね。」

『お願いします……。あの、私いつ結婚できますか?』

本当に聞きたかったのはこの質問。

前に占い師に「結婚できない」と断言されてから、また同じことを言われたら…、と不安で聞けなかった質問。

「大丈夫、あなた自身の波動が本来のものになれば、来月くらいには良い出会いがありそうですよ。

 近いうち、あなたの環境が変わるきっかけが訪れるみたいだから、そこで前向きな決断をしてみるといいかもしれないわ」

『環境が変わる…???』

「そう、でも前向きな決断はいい方向に向かうから安心して。大丈夫、幸せになれるようにしっかり祈願させてもらいますね」

具体的な回答に少し疑いの気持ちも持ちつつも、期待に胸が膨らまずにはいられませんでした。

****

鑑定時間は10分ちょっと。

高校生の時に受けた占いで感じた苦痛の10分間とは全く違う感覚。

状況が変わったわけではないのに、長年縛られてきた呪いが解かれたような、そんなすっきりとした感覚をいだきました。

その日はゆっくり眠りにつくことができました。

快眠

 

変わり始めた運命

そしてそんな私に大きな転機が訪れたのは、そのちょうど1ヶ月後のことでした。

占いを受けた日から、なんだか重い鎧を脱いだかのように心も軽くなっていて、エステに行ってみたり、長かった髪を切ってみたりと自分でもわかるくらい気持ちが変わっていました。

『(本当に呪いでもかかっていたみたい…)』

 

そして、夏目先生の占いを受けてからちょうど一ヶ月が経った頃。

お風呂から出て、家でまったりと過ごしていると、見慣れない番号から電話がかかってきました。

着信

『はい、もしもし』

「上山ちゃん、ひさしぶり!元気だった?俺、皆川です」

恐る恐る電話に出ると、9年前まで勤めていた職場でお世話になった2歳年上の先輩・皆川さんからの電話でした。

『え!皆川さん!お久しぶりです!元気です!どうしたんですか?』

「いや、実は…」

皆川さんの用件は、仕事のお話。

これから会社を立ち上げるらしく、一緒に働いてくれる人を探しているようで、私に事務方として一緒に働かないか?というお誘いでした。

前までの保守的でネガティブな私だったら、この時点で断っていたはずだけど

新しいことを初めてみたいという気持ちも高まっていた私は、週末に皆川さんに会って詳しい話を聞いてみることにしました。

***

週末、14時に有楽町で待ち合わせ。

先に着いていた皆川さんが手を降ってこちらに合図し、私は会釈をしながら走り寄りました。

待ち合わせ

「久しぶりだね…!上山ちゃん、なんか大人になったなぁ~。雰囲気もかなり変わったね」

『そりゃあ8年前はまだ20代前半でしたから。皆川さんも起業されるなんてすごいです…』

「いやいや、そんなことないよ。今日はありがとうね。ちょっとカフェでも入ろうか」

そんなやり取りを交わして、駅から少し離れた小さなカフェに入りました。

***

「―という仕事内容で、大きな案件も決まってるから立ち上げ時にしてはすごく安定していると思う」

皆川さんは丁寧に一通り事業内容や仕事の内容、給与面についても話しをしてくれました。

そして、恥ずかしそうに視線をそらしながら

「上山ちゃんは一生懸命で仕事する姿が印象的で、起業を決断した時に、もう一度一緒に働きたいって一番最初に頭に浮かんだんだ」

まっすぐな目でそう言ってくれた皆川さんの言葉が素直にとても嬉しく胸に響きました。

そして、夏目先生に言われた言葉を思い出しました。

”あなたの環境が変わるきっかけが訪れるみたいだから、そこで前向きな決断をしてみるといい”

信じてみよう、この言葉を。

『ありがとうございます。私もご一緒させていただいた時、皆川さんにたくさんのことを教えていただいて、とても尊敬していました。私でよければぜひ一緒に働かせてください

快諾するシオリ

そう答えた私に皆川さんは、一瞬目を見開き、驚いた顔をした後、嬉しそうな顔をして、喜んでくれました。

「本当に…!ありがとう!嬉しいよ。これからよろしくね!」

 

この時は、この決断が人生最大の転機になるとは思ってもいませんでした。

 

※続きは4月25日更新予定「vol.2 シオリ(33歳)の場合【後編】呪いを解き放ち、幸せな未来を掴んだオンナ」

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